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1on1マニュアル

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1on1とは

部下を中心に仕事を通じて得た体験や課題、悩みを上司と共有するミーティングのことです。週に1回~月に1回といった定期的なペースで30分程度の面談を実施するのが望ましいとされています。

1on1の基本的なスタンスは、部下のための場であることです。よって、上司は「あなたならどうする?」などヒアリングをして部下の意見を引き出す努力をする必要があります。仕事の業績に繋がる話をすることも大切ですが、時には雑談などを含み部下が意見を言いやすい環境を作り出しましょう。

📕 目次

1on1ミーティングの基本的なルール

1on1を実施するにあたって以下の3点は基本ルールとして踏まえておきましょう。

1. 1回につき15分~30分

1on1は定期的に実施することがポイントなので続けやすいように短めに時間を設定しましょう。一人に費やす時間が多いと部下と上司双方に負担が大きくなってしまうので短い時間で定期的に部下の様子をうかがえるようにしましょう。

2. 週1回~隔週1回の頻度で(少なくとも月に 1 回)

1on1は従来の半期に一度や年度ごとの面談とは異なります。週次や隔週で部下の様子をうかがうことで問題に迅速に対応することができます。短いスパンで話し合い、信頼関係を築くことも1on1の目的の一つなので、仮にスケジュールがバッティングしてしまった際はキャンセルするのではなくリスケジュールをして1on1する時間を確保しましょう。

3. 事前に話すことは考えておく

1on1をするうえで陥りやすい問題が、お互い集まったはいいものの、アジェンダが決まっておらず特に話すことがない、といったケースです。1on1は相談をする場になるだけでなく、部下が自身の仕事を振り返る良い機会になるので事前に話す内容を考えてもらうと効果的です。

以下のような切り口で事前に話す内容を考えてきてもらうとスムーズに1on1が進められます。

  • やったこと
  • 良くできたこと・気づき
  • 困っていること・気になっていること
  • 問題に対する改善案
  • 最近あった良い事
  • プライベートの悩み

1on1質問例

1on1では相手の本音を引き出すことが重要なため、「Yes」「No」で答える質問より自由に答えられる「オープンクエスチョン」が適しています。ここでは1on1を成功させる質問の例を紹介します。

質問①:最近あった嬉しいことは?

1on1を実施する大きな目的の一つとして信頼関係を築くことが挙げられます。部下が喜びを感じる場面を理解することでその人が何を重視しているのかを知ることができます。同時に、最近会った嬉しいことを聞くことはアイスブレイクに繋がり、次の質問で本音を引き出しやすくなります。

質問②:最近何か困っていることはない?

こちらは業務に直接関係する困りごとだけでなく、その従業員の働く環境など大きな課題について聞く項目です。これを聞くことによって、「緊急性は高くないが実は重要」といった課題を把握することができます。

質問③:先週の作業でうまくいったことは?どうしてうまくいったと思う?

こちらは、業務単位で従業員の身にあった良い事や成功を聞く項目です。うまくいったことを聞くだけでなく、その理由も深堀していくことによって成功事例をパターン化することができます。成功体験を重ねることは自己効力感の向上にもつながるので必ず聞きましょう。

質問④:先週の作業で何か困ったことや気になったことはある?どうしてその問題に直面したと思う?その問題ってどうしたら解決できると思う?

この質問は短いスパンでPDCAを回していくための質問です。直近の業務で直面した問題を認知し、その理由を深堀することで改善のための打ち手を考える癖が身に付きます。この際部下自身の口で問題を表現させることが大切ですが、必要に応じて打開策への道筋を提示してあげましょう。

質問⑤:どんなことしているときにやりがいを感じる?

こちらは部下のキャリア全体を開発するための質問です。自身が何をしているときに生き生きするのかを聞くことで将来どのように活躍したいのかが明確になります。エンプロイーサクセスを実現するために、従業員が人生で何を達成したいのかを明らかにし、そのために今、どのように働くべきかを考えてもらいます。

フィードバックに必要な4つのポイント

ここでは、上司として部下にフィードバックを与える際注意しておくべきポイントをご紹介します。

目標設定をする

1on1で陥りやすい問題が、上司のフィードバックが部下の課題を解決するうえで的を射ていないという状況です。これは目標が設定できていないため課題が認知できず起こっている現象です。このような事態を避けるために、自身の思い込みでフィードバックをするのでなく、目標を設定し、その目標に向かっているかを判断して助言しましょう。

実現可能なフィードバックを与える

フィードバックを与える際、実現可能性の低い内容は避けましょう。具体的でシンプルな指示である必要はありませんが、実現可能であることは大切です。過去の経験をもとにフィードバックを与えるなどして現実的で行動可能なフィードバックを心がけましょう。

タイムリーにフィードバックをする

フィードバックは従業員を勢いづける役目果たすので、部下がプランを実行してから結果がでたら速やかに行いましょう。フィードバックの効果は、アクションを起こしてから時間がたてばたつほど低くなっていくのでタイムリーに内容をフィードバックすることが大切です。

1on1のフィードバックで活用できる2つのフレームワーク

1on1で上司としてフィードバックを与えていたら、部下は日頃の行いや個人の性格などを否定された気分になり、逆にモチベーションが下がってしまうといったことも起こりかねないです。それらを対策するためにここではフィードバックをあげる際の2つのTipsをご紹介します。

サンドイッチ型

サンドイッチ型とは、ネガティブなフィードバックをポジティブなフィードバックを挟む対話方法です。「褒める→改善点の指摘→褒める」という順番でフィードバックを行うことで、改善点を指摘された部下のモチベーションが低下するなど、フィードバックによる悪影響を最小限に抑えることができます。

サンドイッチ型フィードバックの例:

【褒める】「先日の資料、ユーザー目線で考えられていてすごく良かったです。構成も言い回しも繊密に考えられていて読みやすかったです。」

【改善点を伝える】「ただ、資料作成に費やす時間をもう少し少なくできるといいですね。PDCA速く回していけたら良いなと思いました。」

【褒める】「いずれにしても非常に良い資料だったので今度全体ミーティングで共有しましょう!」

このように改善点を告げる前後にポジティブな言葉を並べることで部下はフィードバックを受け入れやすくなります。

SBI(Situation Behavior Impact)型

SBIとは、Situation(状況)→Behavior(行動)→ Impact(影響)の順番でフィードバックを行うことで相手に内容を理解してもらいやすくする手法です。SBIを意識することでフィードバックの相手は自分の現状を理解し、その行動がもたらす影響を把握できるので自分が今後どのように行動すべきか明確になります。

SBI型フィードバックの例:

【Situation】「昨日のミーティングの話なのですが、」

【Behavior】「情報をその場で確認しながら整理してから疑問点を聞いてましたよね?」

【Impact】「あれすごく良いと思いました!情報を整理して質問することで他のメンバーの確認にも繋がりますし、なにより発言に対する敷居を下げてくれたのは助かりました。今後もこの調子で力発揮していきましょう!」