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ワーク・エンゲージメントを高めるためのアクション集

ワーク・エンゲージメントを高めるためのアクション集」とは?

バーンアウトに陥っている可能性のある従業員に対して、どのようなアクションを取ればよいかを従業員抱える課題に応じて整理したものです。ワーク・エンゲージメントの規定要因である「個人の資源」と「仕事の資源」の要素をもとに作成しています。

ワーク・エンゲージメントの規定要因「個人の資源」「仕事の資源」

ワーク・エンゲージメントを高めるには2つの規定要因、「個人の資源」と「仕事の資源」を充実させる必要があります。

「個人の資源」とはモチベーションやストレスに関わる当人の内的資源、心理的資源のことを言います。例えば、レジリエンス、自己効力感、楽観性などが例としてあげられます。

「仕事の資源」とはモチベーションやストレス反応に影響する組織内の要因のことを言います。例えば、仕事の裁量権や上司・同僚からのサポート、メンバー同士の信頼関係などがあげられます。

ワーク・エンゲージメントとは?

ワーク・エンゲージメント(Work Engagement)とは「仕事に関して肯定的で充実した心理状態」を表します。従業員がいきいきと働く際重要な指標となってきます。

ワーク・エンゲージメントは以下の3つの要素から構成されています。

  • 活力(Vigor):仕事に取り組む高い水準のエネルギーや心理的な回復力、粘り強さ
  • 熱意(Dedication):仕事に対する思い入れや誇り、やりがい
  • 没頭(Absorption):仕事に取り組む上で雑念がなく、集中できている状態

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

バーンアウトとは?

バーンアウトとは仕事に対してエネルギーを使いすぎたあまり、不満感・疲労感で社会的活動を停止し、意欲を喪失してしまう状態です。ワーク・エンゲージメントの対極の概念として認知されています。

目次

個人の資源

「個人の資源」とはモチベーションやストレスに関わる当人の内的資源、心理的資源のことを言います。例えば、レジリエンス、自己効力感、楽観性などが例としてあげられます。

楽観性

楽観的な人は精神的・身体的に健康でモチベーションを高い状態を保ちやすいと言われています。現在・未来の成功に対して悲観的な考え方を示す従業員は仕事に対する思い入れや誇り、やりがいが低く、ワーク・エンゲージメントに悪影響を及ぼす可能性があります。そういった従業員にはポジティブに考える癖をつけるよう促しましょう。

楽観性が低い人の特徴

  • 現在・未来の成功について悲観的な考え方をする
  • ネガティブな発言を多々する
  • 仕事を楽しくなさそうにこなしている
  • 同僚の仕事ぶりと自身を比較して劣等感を感じている

楽観性が低下していないか確かめるための質問

  • 今の仕事は楽しい?
  • 些細なことでも、どうせうまくいかないと考えてしまうことはない?
  • 「努力してもどうせ報われない」と考えてしまうことはない?

楽観性を高めるためのアクション

ACTION 1 : ロールモデルの設定

ロールモデルを定め、その人を観察するよう促してみましょう。人はロールモデルが成果をあげるのを見ると「自分にもできるかもしれない」という気持ちが沸きます。これは代理体験と言って、他者の成功を観察して、自分がやっているようなイメージを持つ体験を指します。

ACTION 2 : 感謝を伝える習慣をつける

日頃から物事に対して悲観的な姿勢が見られる場合は、感謝することが習慣となるよう促しましょう。感謝を伝えることは社会的なつながりに関連するだけでなく、自分を思いやってくれるさまざまな人について、脳がより深く認識するようになります。このように他者と有意義な形でつながることは楽観性を鍛えることにもつながるので感謝を伝えることはエンゲージメント向上に影響します。

  • まわりに感謝の気持ちを手紙に書いて送る
  • 日頃から周囲や自分への感謝の気持ちを心の中で思う
  • 寝る前に感謝していることを5個〜10個、日記に書く

などのアクションを伝えると良いでしょう。

ACTION 3 : ジョブ・クラフティング

仕事を楽観的に捉える際役立つのがジョブ・クラフティングです。ジョブ・クラフティングとは働いている方がやりがいを持って働けるように、働き方を工夫する手法です。①仕事の考え方、②仕事の方法、③人間関係 の3つへアプローチすることで意識の改善を目指します。詳しく知りたい方はこちらのページをご参照ください。

立ち直る力

ワーク・エンゲージメントの構成要素の一つとして「活力」が存在します。ワーク・エンゲージメントの構成要素の「活力」は、仕事に取り組む高い水準のエネルギーや心理的な回復力、粘り強さを指し、「立ち直る力(レジリエンス)」が重要です。立ち直る力が低い従業員は感情の情緒が上下しやすく、イベントごとの結果で一喜一憂してしまい精神的疲労を溜めやすい傾向にあります。一方立ち直る力が高い人は「自分にとってなにが大切か」を理解できているので感情のコントロールが得意です。従業員が以下のケースに当てはまる場合、立ち直る力を高める必要があるかもしれません。下で紹介するアクションを参考にしてみてください。

立ち直る力が低い人の特徴

  • 仕事で失敗したり困難なことに直面した時にすぐに立ち直れない
  • 問題や逆境に直面し、ストレスを感じてしまっている
  • 目の前の状況に一喜一憂してしまい作業に集中できていない様子

立ち直る力が低下していないか確かめる質問

  • 自分に対して周囲からネガティブなプレッシャーがかかっていると感じることはある?
  • 些細なことでも、どうせうまくいかないって考えてしまうことはない?
  • 問題に直面した時結構悩んでしまいがち?
  • 失敗することを恐れてない?

立ち直る力を高めるためのアクション

ACTION 1 : SlackやTeamsでの反応を意識する (i.e. スタンプで反応、コメントするなど)

SlackやTeamsでなにか相談した際、小さなリアクションでもつくと従業員はうれしいものです。言葉では照れくさくてなかなか伝えられないこともスタンプや絵文字で伝えることで従業員の活力に繋げましょう。

ACTION 2 : 仕事を長期的視野で捉えるよう促す

目の前の状況によって作業にムラがある場合は、タスクの全体像をみて、長期的視野で物事を捉える伝えましょう。全体像を把握する習慣があることで、問題に直面しても「こんなこともあるよね」と割り切る力が付き、レジリエンス力が付きます。

自己効力感

自己効力感とは自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していることです。自己効力感は、従業員が働く際「活力」を感じるうえで重要になってきます。作業をしていてなかなか結果を出せないと自分の能力を疑い始め、ネガティブ沼にはまってしまいます。部下の自己効力感が低くなっているようにみえたら以下のようなアクションを取って自身の可能性を認知できるよう促してみましょう。

自己効力感が低下している人の特徴

  • なかなか結果を出せず思い悩んでいる
  • 与えられたタスクの解決策が思いつかず落ち込んでいる

自己効力感が低下していないか確かめる質問

  • 何か行き詰ってる?
  • 周りと自分を比較してない?
  • 自分はなにをやってもできないって考えてしまってる?

自己効力感が低い従業員に対するアクション

ACTION 1 : 成功体験を思い起こせるよう促す

「あの時の○○君の行動には本当に感謝してる」など、これまでの成功体験を思い出せる声がけをしましょう。仕事などで成功体験を積めば、「自分はやればできるんだ」と思うようになり、物事を楽観的に捉えることができ、行き詰っていた作業もおのずと解決策が見えてきます。

ACTION 2 : 問題を把握させる

与えられたタスクが進んでいないように見えたら、積極的に手を差し伸べましょう。行き詰っていても助けを求めることができず一人で悩んでいるのかもしれません。この際、まず彼らが抱えている問題を把握しましょう。できれば自分の言葉で表現してもらい、自ら解決策を考えるきっかけを作りましょう。このように自ら課題を解決する経験を積めば自己効力感を感じることができ従業員は活力をもって仕事に取り組むことができます。

仕事の意味

ここで言う仕事の意味とは、目標に向かって粘り強く取り組み、必要があれば目標達成までの道のりを軌道修正することを指します。目標が明確になっていると仕事に取り組む上で雑念がなく、集中できている状態を保つことができます。従業員がはきはきと作業できていないように見える場合は自分が仕事をする意味や意義が見つかっていない可能性があります。

仕事の意味が感じられていない人の特徴

  • 従業員の表情に熱意が感じられない・やる気が感じられない
  • タスクを与えてしばらくしてからタスクの目的を尋ねられた

仕事の意味が感じられているか確認する質問

  • 今の仕事は楽しい?
  • 自分の貢献は感じられている?
  • 今の仕事は、なんのためにやっている?何につながっていると感じる?それは明確?

仕事の意味を感じてもらうためのアクション

ACTION 1 : 理想像だけ伝え、あえて具体的な指示を出さない

タスクを与える際あえて具体的な指示は控えて実現したいことだけを伝えると、裁量権の大きさに繋がり熱意・活力を感じてもらうことができます。

ACTION 2 : 振り返る機会の設置

熱意ややる気が感じられない場合は、毎週セルフ振り返りをするよう進めましょう。これをすることによって自分が実現したいことに向かっているのか確認でき、モチベーションUPに繋がります。

ACTION 3 : ジョブ・クラフティング

仕事の目的や意義にの理解に役立つのがジョブ・クラフティングです。ジョブ・クラフティングとは働いている方がやりがいを持って働けるように、働き方を工夫する手法です。①仕事の考え方、②仕事の方法、③人間関係 の3つへアプローチすることで意識の改善を目指します。詳しく知りたい方はぜひこちらのページをご参照ください。

仕事の資源

「仕事の資源」とはモチベーションやストレス反応に影響する組織内の要因のことを言います。例えば、仕事の裁量権や上司・同僚からのサポート、メンバー同士の信頼関係などがあげられます。

仕事の裁量性・コントロール

仕事の裁量性やコントロールは従業員の仕事に対する「熱意」に大きくかかわってきます。従業員によっては与えられたタスクが単調すぎて物足りないと感じている場合があります。とくに優秀な従業員は向上心が高く、常に自身のスキルUPを求めます。このような場合はタスクそのものの難易度をあげたりタスクの与え方を工夫したりすると良いでしょう。

仕事の裁量権が感じられていない人の特徴

  • 与えたタスクをすぐにこなしてしまう
  • 仕事への裁量権が感じられないと伝えられた

仕事の裁量性・コントロールが感じられているか確認する質問

  • 仕事の難易度は高い?低い?それともちょうどいい?
  • 仕事物足りないって感じることはある?

裁量性・コントロールを感じてもらうためのアクション

ACTION 1 : 理想像だけ伝え、あえて具体的な指示を出さない

タスクを与える際あえて具体的な指示は控えて実現したいことだけを伝えると、裁量権の大きさに繋がり熱意・活力を感じてもらうことができます。ゴール地点だけ把握しており、自身でやり方を選定できるので自主的に作業の工夫をするようになるので仕事のコントロールを感じやすくなります。

ACTION 2 : 作業担当者本人にタスクの裁量の調整をさせる機会を設ける

与えるタスクを、単調な作業ではなく、個人の技量を生かした達成感が得られる作業にすることは大切ですが、それだけでは事業を前へ進めるうえで限界があります。そのような場合はタスクの具体的な進め方や量を設定する際、作業担当者自身がタスクの範囲を増やしたり再調整することができるようにしましょう。これをすることによって責任感を持ってタスクを遂行するようになります。

会社の目的・理想への賛同

従業員が会社の目的・理想へ賛同している状態とは、会社のビジョン・ミッション・バリューに共感していることを指します。会社が目指す世界観や理想の姿が確立されていると従業員は自身が担っている仕事の重要性を認知することができ、結果として仕事に対する思い入れや誇り、やりがいに繋がります。逆に会社の羅針盤となるミッション・ビジョン・バリューに共感できていない、もしくは会社がそれを体現できていないと従業員は自身の仕事に対し疑問を持ちはじめ、ワーク・エンゲージメントが低下してしまいます。

会社の目的・理想への賛同に問題があるケース

  • 社員の共感が得られない。浸透しない。
  • 会社のビジョンの言語化が曖昧でメンバーが理解できていない。言葉だけが先走っている状態。
  • 経営者の想いが強く、周囲のメンバーがそれに合わせる形で十分なディスカッションが行われない。

会社の目的・理想への賛同が得られているか確認する質問

  • 会社が向かう方向に疑問を持ったことはある?
  • 会社のビジョン・ミッション・バリューに共感してる?
  • 自分がやっている仕事は会社の進む方向に貢献していると思う?

会社の目的・理想への賛同を得るためのアクション

ACTION 1 : リーダーが会社の方向性を頻繁に語る

会社の存在意義や理想について代表や責任者が頻繁に口に出すことで従業員への浸透度はUPします。ビジョン・ミッション・バリューを耳にすることを増やすことで認知・理解の壁を越えて、共感へと導くことが大切です。この際、ただむやみにキーフレーズだけを伝えるのではなく、背景にあるストーリーも含めて語ることが共感を生むことに繋がります。

ACTION 2 : 会社の理念に向けて自身が行った行動を共有し合う場を設ける

社内でビジョン・ミッション・バリューの実現に向けて自身がした行動を共有する会を定期的に設けることで従業員は会社が向かう方向を理解していきます。実際に自分が行った仕事が特定のビジョン実現に繋がっていると振り返ることでそれらに対する理解が増します。例えばwellday社では隔週、自社のバリューに対して自分が行ったことを共有する会が開催されており、組織全体として目標に向かって動いていることを振り返る良い機会になっています。

ACTION 3 : 具体的な行動規範/評価制度の策定

策定されたばかりのビジョン・ミッション・バリューはただのキーワードでしかないので宣言するだけでは効力を持ちません。したがって、大きく抽象的な目標を分解し、日々の業務で実践できるような姿勢や行動の規範を設定することが浸透に効果的です。行動規範が評価へ紐づく制度を構築するなどすると深い理解へ繋がります。

成長の機会

従業員の成長は事業の成長に欠かせません。難易度の高い仕事を早いうちから任せたり研修・セミナーに積極的に参加することを促したりすることで従業員は成長していきます。逆に成長の機会が少ない職場だと従業員は仕事に対するやりがいが感じづらくなりワーク・エンゲージメントが下がってしまいます。

成長の機会に問題があるケース

  • 与えたタスクをすぐにこなしてしまう
  • 「仕事で新しいことを学ぶ機会はある?」と聞いても口ごもってしまう
  • 従業員からの質問が減った

成長の機会を感じているか確認する質問

  • 仕事で新しいことを学ぶ機会はある?
  • 仕事で自分の長所を伸ばす機会はある?

成長の機会を感じてもらうためのアクション

ACTION 1 : より難易度の高い仕事を任せる

成長の機会が感じられない一番の要因は仕事内容が簡単すぎることが挙げられます。そのような場合、同じ職務でも設定するミッションを変更したり担当する内容を変更したりして難易度をあげましょう。例えば営業職を任せる場合、今までと比べて攻略困難な顧客群を担当してもらったり、より繊密さが求められる仕事を任せたりするなどが考えられます。

ACTION 2 : 「教える役割」を任せる

仕事をしていても成長を感じられなくなった従業員に対しては教える役割を任せてみましょう。プレイヤーとして業務を遂行する力とメンター/マネージャーとして教える力は全く異なります。広い視野で臨機応変に対応が求められるマネージャーへと転身した従業員は多くの学びを得て成長を感じるでしょう。

ACTION 3 : 事業間の交換留学

従業員の成長の機会を作りたいけど大きな人事異動は実施したくないといった場合は事業間の交換留学をお勧めします。交換留学制度では別事業部の商談の進め方や広告投資の手法などが共有されることで従業員の成長につながるだけでなく、課題解決や業務効率化にも繋がります。事業ごとに蓄積される成功事例は他部署でも活かせる内容が多いはずなので従業員と事業の成長を同時に見込める施策となっております。

ACTION 4 : 未経験の業務への異動

多角的な視点を持つリーダーへと成長するには多様な職種を経験させ知識・スキルを培ってもらうことが大切です。営業職を経験して顧客対応力を身に着け、経営企画職では分析能力や構想力を磨くといった具合にあらゆる職務での業務遂行力を鍛えることで良きリーダーへと成長していきます。このように会社内での職ごとに得られるスキルや知識を整理し、あらゆる部署間で経験を積ませることで成長を実感してもらうことができます。

上司・同僚からのサポート/対人的公正さ

職場のメンバーに悩み事を相談しづらい環境である場合は信頼関係を築く必要があります。信頼関係が構築されていないと、仕事で行き詰まっても相談することができず一人で悩むしかありません。仕事で悩んで進まない状態は仕事に没頭することもできず、活力もなくなってしまうのでワーク・エンゲージメントの高い状態とは程遠くなってしまいます。そのため良い信頼関係を築くことはワーク・エンゲージメントを高めるために重要になってきます。

上司・同僚からのサポート/対人的公正さに問題があるケース

  • 上司や同僚に悩み事を相談しづらい環境になっている
  • メンバーからのサポートが十分に得られていない
  • 1on1の効果があまり感じられない
  • リモートワークでコミュニケーションや信頼関係を築くのに苦労している

上司・同僚からのサポート/対人的公正さが感じられているか確認する質問

  • 上司やメンバーとの仕事の受け渡しはスムーズ?どんな渡され方が理想?今はそれに対してどう?
  • 必要なメンバーとのコミュニケーションは足りている?
  • 上司、部下とはなんでも話せる関係?
  • 困ったときに、助けは求められる?

上司・同僚からのサポート/対人的公正さを改善するためのアクション

ACTION 1 : 1on1でなるべくヒアリング重視で部下の発言を多くする

1on1の基本的なスタンスは、部下のための場であることです。よって、上司は「あなたならどうする?」などヒアリングをして部下の意見を引き出す努力をする必要があります。仕事の業績に繋がる話をすることも大切ですが、時には雑談などを含み部下が意見を言いやすい環境を作り出しましょう。1on1のコツについて深く知りたい方はこちらのマニュアルを参照してみてください。

ACTION 2 : オンライン休憩室の設置

毎日決まった時間にオンラインで雑談をするテレカンルームを作りましょう。オフィスでは発生する雑談もテレワークになるとしづらいので意識的に雑談をする部屋を作って息抜きをすることをお勧めいたします。弊社では毎日15時「オンライン給湯室」を設置しており、気軽に雑談できる環境を用意しています。

ACTION 3 : CREWプログラムを実施する

「CREW」とはCivility(礼儀正しさ)、Respect(敬意)、and Engagement(エンゲージメント) in the Workplace(職場)の略で2005年にアメリカで開発されたプログラムです。"お互いを知るための対話" = "CREWセッション" を積み重ねて職場の人間関係にアプローチし、いきいきと働きやすい職場風土の醸成を目指します。「CREWプログラム」について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

ACTION 4 : 相談しやすいオフィスレイアウトに工夫する

オフィスの内装・家具・照明の選定などにこだわり相談しやすい環境づくりをすることは大切です。デスク間を仕切るパーティションの撤去や席と机の配置をジグザグに設置することで向かい合っている社員の顔を見やすくするなど工夫できます。

他にも社内で話しやすい環境を作るために席のフリーアドレス制を導入してもよいかもしれません。社員の固定席を指定せず作業を行う席を自由に選べるフリーアドレス制のスタイルは、毎回異なる席に座るため、隣り合う人も毎日変わり、さまざまな人とコミュニケーションをとることができます。

就業条件

ここでいう就業条件とは、働く環境の全般を指します。例えば、労働時間などももちろんですが、キャリア開発の機会であったり、雇用の安定性であったり、企業でのメンタルヘルス対策の有無なども指します。就業条件は仕事に対する思い入れや誇り、やりがいに関わってきます。就業条件が整備されていないと従業員はバーンアウトに陥りやすく、活力も失いやすいので気をつける必要があります。

就業条件が整備されていないケース

  • 特定の個人にタスクが集中している
  • 長時間労働が恒常化している
  • メンタルヘルスについて相談できる窓口がない

就業条件に問題があるか確認する質問

  • 最近、業務量多いなとか感じることある?
  • 望ましいスケジュール感、期限で働けている?自分が時間を費やしたい仕事に、十分に注げている?それを妨げるものはある?

就業条件を改善するためのアクション

ACTION 1 : タスクを設定する際、作業担当者にも参加してもらう

特定の従業員に過度にタスクが集中しているとバーンアウトに陥る恐れがあるので注意する必要があります。定期的に作業量に偏りができていないか点検し、仕事の割り振り方を工夫しましょう。

タスクの役割やスケジュールを決定する際、マネージャーが一方的に内容を決めず、実際にタスクを行う者も意思決定に参加してもらいましょう。タスクの具体的な進め方や量を設定する際、作業担当者自身がタスクの範囲を増やしたり再調整することができるようにすることも大切です。これをすることにより与えられたタスクの背景を理解することができ、作業時の解像度が上がります。

ACTION 2 : 労働時間を見直す

会社内で残業が恒常化している状況下では労働時間を見直す必要があるかもしれません。日・週・月ごと労働時間の目標値を設定したり、残業禁止デーや自社特別の休業日を設定するなど工夫して残業の恒常化を防ぎましょう。

ACTION 3 : 社内でメンタルヘルス相談窓口の設置をする。

バーンアウト気味の従業員は自身のメンタルヘルスが健康的でないと感じてもなかなか相談しづらい場合があります。会社として、メンタルヘルス相談窓口の設置などをし、従業員の心の健康や悩み、職場内の人間関係などについて相談できる体制を確保することが大切です。また、予期せぬ事故が生じた際、緊急処置や緊急の心のケアが受けられるよう、あらかじめ職場内の責任者や産業保健スタッフ、あるいは社外の専門家との連絡体制や手順を整えておくことも大切です。詳しくはこちらの記事をご参照ください。

周囲からの承認

周囲からの承認(仕事の評価)は従業員のワーク・エンゲージメントに深くかかわってくるので評価を下す側は最善の注意を払って取り組む必要があります。従業員本人は誠意をもってタスクに取り組んだはずなのにその評価が正当に得られなければ「努力が報われない」と感じてしまいバーンアウトに繋がってしまいます。何かを達成したときに昇格などの形で成果が報われると従業員はやりがいを感じ、熱意と活力をもって仕事に取り組みます。

周囲からの承認が影響してワーク・エンゲージメントが低下してしまうケース

  • 仕事のパフォーマンスに関する評価を伝えたら自分自身を否定された気分になり、落ち込んでしまった
  • 評価が公平に与えられていないと伝えられた
  • 期末や年度末など、評価が実施される次期からいつもと違う雰囲気になった

周囲からの承認に納得しているか確認する質問

  • この間の評価、納得いく?
  • 努力が報われてるって感じる?

周囲からの承認を工夫するためのアクション

ACTION 1 : 公平に評価を下している趣旨を伝える

昇進・昇格のモデル例や、キャリア開発のための資格取得機会の有無を明確にして評価が公平に下されていることを明示しましょう。

ACTION 2 : フィードバックの伝え方を工夫する

1on1などで部下にフィードバックを伝える際、相手のモチベーションが低下しないような伝え方をしましょう。例えばフィードバックで活用できるフレームワークとしてサンドイッチ型やSBI型が存在します。これらは意見の伝え方を工夫して、フィードバックによる悪影響を最小限に抑えるためのフレームワークです。詳しく知りたい方はこちらのマニュアルをご参照ください。